ネットワークエンジニアって具体的にどんな仕事をするんだろう?
元ネットワークエンジニアの私がその疑問にお答えします。
ネットワークエンジニアの仕事ってどんなものかご存知ですか?
私は今まで転職活動を4回経験しているのですが、その中でWebエンジニアへと転職しようとしていたときのことです。
面接の担当者は、人事の人だけでなくWebエンジニアだったりするのですが、ネットワークエンジニアの仕事内容を知らなかったり、勘違いしている人がほとんどだったんです。
同じエンジニアでも、システムエンジニアとネットワークエンジニアじゃ全然違うんだね。
そのときはじめて、ネットワークエンジニアの仕事内容ってあまり知られてないんだと知りました。
そこで本記事では、約4年間ネットワークエンジニアとして働いてきた私が、実際に現場で経験してきたことを元にネットワークエンジニアのリアルな仕事内容について、詳しく解説していきます。
これからネットワークエンジニアになりたい人や、ネットワークエンジニアに興味がある人の参考になれば幸いです!
本記事の信頼性
ネットワークエンジニアとして4年間働いており、上流工程から下流工程まで幅広く経験してきました。
- 上流工程
→ 様々なクライアント相手にネットワーク設計・構築を経験 - 下流工程
→ Cisco社パートナー企業でテクニカルサポート業務を経験
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事は、上流から下流までかなり幅広いです。
- 上流工程のネットワーク設計と構築
- 下流工程の保守・運用
ネットワークエンジニアになったとしても、いきなり上流工程の仕事を経験することはなかなかありません。
まず、下流工程の保守・運用を経験してから、構築→設計とステップアップしていくことが多いです。
もちろん上流工程のみを取り扱う会社の場合は、いきなり上流工程になってしまいますけど。
また、会社によって
- 全ての工程を自社でこなす会社
- 保守のみ、構築のみなど、一部の工程だけを扱う会社
と、扱う範囲も違ってきます。
そのため、会社選びの際は、ネットワークエンジニアになって自分がどの工程を行いたいかわかっていないと、入社してから「イメージと違う」と困ることになります。
では、具体的にそれぞれの工程について、私が実際に経験してきたことを元に解説していきます。
ネットワークの設計
案件の一番最初に行う部分で、一番経験とスキルが必要になってくる工程です。(厳密には、その前に要件定義が入りますが)
お客様の希望の要件を満たすようなネットワーク構成図を作ります。
また、その際に使うネットワーク機器の選定も行う必要があります。
ネットワークの規模や耐障害性などを考慮して、構成図作成・機器選定を行うため、ネットワークについての知識だけでなく、ネットワーク機器自体についての知識も必要となります。
例えば、耐障害性を高めるための方法と言っても、
- HSRPを使う
- PBRを使う
- ルーティングで制御する
など、様々な選択肢があります。
そのため、ネットワークに最適な方法を選択するための知識と経験が必要です。
つまり、ネットワーク設計はかなりの経験がないと務まりません。
逆に言えば、ネットワーク設計ができるようになれば、ネットワークエンジニアとして一人前と言えますね。
ネットワークの構築
ネットワークの構築には、2つの段階があります。
- ネットワーク機器の設定
- 現地でネットワーク機器の設置と配線
それぞれについても解説していきます。
ネットワーク機器の設定
設計通りに、ネットワーク機器へと設定を入れていきます。
GUIで設定ができる機器もありますが、TeraTermを使ってコマンドベースで行うのが一般的です。
と言っても、あらかじめコンフィグファイルを作っておき、それを流し込むという流れが多いですね。
その際、エラーが出てうまくコンフィグが入らなかった場合は、その原因を突き止める必要があります。
例えば、同じメーカーのルータでも、機種が違えば使えないコマンドがあります。
そのため、こっちの機器では入った設定が、あっちの機器では入らないなんてことは日常茶飯事です。
また、ほとんどの場合、ネットワーク機器の設定は社内で行います。
そして、設定済みの機器を現地へと配送します。(直接持って行く場合もありますが)
そのため、配送する際の梱包なども行う必要があります。
機器に設定を入れる前に、初期不良がないか単体テストを行う場合が多いです。
単体テストや配送前の梱包などは、別の部署が行うという会社も中にはあります。
現地でネットワーク機器の設置と配線
現地でネットワーク機器の設置と配線も行います。
ほとんどの場合がお客様先ですね。(データセンターの場合もあります)
データセンターやセキュリティが厳しい会社の場合、入館のため手続きが結構面倒なこともあります(笑
ネットワーク機器の設置は、専用のラックに取り付けるラッキング作業が発生する場合は多いです。
基本はドライバーを使ってのネジ止め作業ですし、機器もそこそこ重いので結構な体力仕事になります。
配線は規模によって工事業者に依頼する場合もありますが、ラック周りは基本的に自分で行います。
(中には物理的な作業は業者や別部署が行うなど、完全に分担している会社もあります。)
配線がごちゃごちゃしてしまうと、何かあったときどのケーブルがどのポートに挿さっているのかわからなくなるので、できる限りキレイにまとめる必要があります。
ケーブルの数が膨大なことが多いので、慣れるまではかなり苦労します。
余談ですが、ラック周りは普段はほぼ触らない場所なので、ホコリなどもかなり多く、アレルギー持ちの人には辛い作業です。
ちなみに、私もがっつりアレルギー持ちなのでかなり辛かったです・・・
動作確認
現場でラッキングと配線を行った後は、想定通りに動作するかテストを行います。
何かトラブルがあった場合のことを考えて、ネットワーク機器の電源をONにする前からログは全て取得する必要があります。
もちろんテストのときもです。
後から見返して、一部ログが抜けてたりすると冷や汗ものです・・・
問題なく通信ができていればいいですが、一部通信ができなかったりすると原因調査をする必要が出てきます。
規模があまり大きくなければいいですが、例えば工場のネットワーク構築などは、どの機器が問題なのかわかっていない場合直接機器を見に行かないといけないので、広い工場内を歩き回ることになり、かなり大変です。
工場での作業となると、基本的に休日に行うことになるので、空調はOFFになってます。
そんな中、真夏に歩き回るとなると地獄です・・・
ただ、原因を自分で解消して、うまく通信ができるようになったときの達成感は、かなりの快感ですよ(笑
ネットワークの保守・運用
個人的に、ある意味一番仕事の幅が広い部分だと思ってます。
なぜなら、ただ保守・運用と言っても、会社によって業務内容はかなり違ってくるからです。
例えば、
- トラブルがあったら現地へ駆けつける会社
- コールセンターのように電話対応ばかりの会社
- トラブルがあった際に機器のログ解析を行う会社
このようにいろいろな会社があります。
ネットワークエンジニアになりたいから、まずは保守・運用を経験しなくちゃ!
そういう考えで、あまり業務内容を深く知らないまま入社してしまうと、コールセンターでマニュアル対応しかしないなんてことになってしまうと、スキルアップできないまま時間を無駄に過ごしてしまうことになります。
そのため、保守・運用の会社を選ぶ際は、面接などで業務内容を特に詳しく聞いておくことをオススメします。
ネットワークエンジニアのいいところ
ネットワークエンジニアの仕事は、かなり幅が広く大変ではありますが、非常にやりがいもあります。
特に実際働いていて私が感じたネットワークエンジニアのいいところは、以下の通り。
- 多くのスキルを身に付けることができる
- 想像するエンジニア像になることができる
- 給料が高い傾向にある
- 自宅のネットワークトラブルが怖くなくなる
- 今までにない経験ができる
仕事でスキルをしっかり身に付けることができますし、その上給料も高いところが多いため、モチベーションも高く仕事に取り組むことができます。
一度スキルを身に付けたら、どこへ行っても通用するってのも大きいです。
また、自宅で発生したネットワークトラブルに対して、すぐ自力で対処できるようになるってのも、個人的にはかなり大きいと感じたポイントです。
未経験からネットワークエンジニアになるには?
プログラマーと違い、割といきなり未経験からでもネットワークエンジニアになることができます。
ただ、何も知識がない状態でいきなり入っても、かなり苦労することになるので、ある程度勉強しておくことをオススメします。
最低限のスキルを身に付ける
未経験からネットワークエンジニアを目指すのであれば、Cisco認定資格であるCCNAの範囲くらいの知識はあった方がいいです。
CCNAの知識があるのとないのでは、業務を始めてからの理解度が全然違ってきますし、面接での印象もかなり変わります。
ただ、CCNAの範囲ってかなり広いので、中でも重要な箇所だけピックアップしました。
- IPアドレスとサブネットの計算
- VLAN
- ルーティングの基礎
- Cisco機器の基本的な操作
これら4つは、ネットワークエンジニアとして働くならどの現場に行っても絶対に必要となる知識です。
そのため、まずはこれらについては完璧に押さえて、それから残りの範囲を勉強すると効率よく勉強が進められます。
Cisco機器の基本操作を覚える
絶対必要となる知識にも入れましたが、Cisco機器の操作はあらかじめ覚えておいた方が絶対いいです。
面接などでアピールができるって点も大きいですが、何より覚えた知識を元に操作することで、その知識をスキルへとブラッシュアップすることができるからです。
参考書で勉強だけしても実務ではほぼ役に立ちませんから、機器の操作は絶対にしておくべきですよ。
Cisco機器の操作について学ぶなら、まずはパケットトレーサーを使ってみることをオススメします。
パケットトレーサーは、Cisco社が出しているネットワークシミュレーターです。
ソフトウェア上でCisco機器を使ってネットワークを構築し、実機と同じようにコマンドを使って設定することができます。
パソコンがあれば誰でも無料で使うことができるので、手軽に実機操作を学ぶことができますよ。
情報収集して求人に応募する
必要なスキルを身に付けたら、実際ネットワークエンジニアの求人についての情報収集をして応募しましょう。
求人の情報収集には転職サイトを活用するのが一番手っ取り早いです。
通勤時などのスキマ時間に求人を探したり、どんな会社があるのか情報収集ができ、気になる求人があればそのまま申し込むことができるので非常に使いやすいのがメリット。
そのため転職活動を始めたら、というより転職活動を始めようと考えたらまず転職サイト登録することをオススメします。
情報収集にもある程度時間がかかるため、登録だけは早めからしておくと後々が楽になりますよ。
ちなみに、数ある転職サイトの中からネットワークエンジニアにおすすめ転職サイトはこちらの記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアとして働き始めて、最初のうちは目の前の仕事にいっぱいいっぱいになると思います。
しかし、ある程度仕事に慣れてきたら、今後どのようなキャリアパスを描くのか決める必要があります。
ネットワークエンジニアは、経験を積むことで
- ネットワークスペシャリスト
- ネットワークマネージャー
- インフラエンジニア
この3つの道のどれかに進むことになります。
年収を上げたい人
年収を上げたいのであれば、ネットワークスペシャリストかネットワークマネージャーを目指しましょう。
どちらもかなり仕事は忙しいですが、その分給料もかなり高いです。
マネージャー寄りのネットワークスペシャリストだった現場の先輩は、31歳で年収800万円ほどもらってると言っていました。
ライフワークバランスを重視したい人
ネットワークスペシャリストやネットワークマネージャーは、年収がかなり高いですが、その分仕事量も多くて残業や休日出勤だらけになってしまいます。
実際その先輩も、基本的に毎日終電帰りでしたし、朝も早く、休日も家で仕事してると言っていました。
仕事命でそれでも問題ない人ならいいんですが、給料よりもライフワークバランスを重視したい人もいると思います。
そういう人は、インフラエンジニアの中でも社内インフラを管理する社内インフラエンジニアを目指すことをおすすめします。
クライアント相手と違って、スケジュールを決めるのも仕様を決めるのも自分なので、かなり自分のペースで働くことができます。
クライアント先へと打ち合わせに行く必要もありません。
ただし、求めれられるスキルはネットワークだけに限らず、サーバやプログラミングとかなり幅広いです。
その上、社内インフラエンジニアの求人を出している会社は大手であることが多いため、入社の難易度がかなり高いです。
でも、入社さえできればかなり安定した環境でスキルを磨くことができるので、かなりおすすめのキャリアパスです。
ネットワークエンジニアの仕事内容まとめ
ネットワークエンジニアの仕事内容について、実際に私が経験してきたことを元に解説してきました。
ネットワークエンジニアのいい所は、プログラマーよりも業界へ入るためのハードルが低いことです。
パソコンを機器に接続して、コマンドをカタカタすることが多いので、エンジニア感もあります(笑
また、ネットワークエンジニアは高収入の会社が多く、エンジニアの数が不足していると言われているため、高待遇も期待できるのもいい所ですね。
これからネットワークエンジニアになりたい人や、ネットワークエンジニアに興味がある人の参考になれば幸いです!